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浦和地方裁判所 昭和50年(わ)1535号 判決

(一)

本店所在地 埼玉県鳩ケ谷市南二丁目一八番一一

名称

高砂化工機株式会社

代表者

代表取締役 富岡俊郎

(二)

本籍 埼玉県鳩ケ谷市南二丁目一四番地の四

住居

埼玉県鳩ケ谷市南二丁目一九番一二号

会社役員

富岡俊郎

昭和八年一〇月一五日生

右に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官望月計介出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

(一)  被告会社高砂化工機株式会社を罰金六〇〇万円に処する。

(二)  被告人富岡俊郎を懲役五月に処する。

本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は同被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社高砂化工機株式会社は、埼玉県鳩ケ谷市南二丁目一八番地一一に本店を置き、化学反応、重合および化学製品製造装置の製造、加工および販売等を事業目的とする資本金六〇〇万円の株式会社、被告人富岡俊郎は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるところ、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の材料仕入等を計上し、売上の一部を除外もしくは繰り延べ、期末仕掛品の棚卸を圧縮するなどの行為により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四七年二月一日から翌四八年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が七六、〇三五、五九九円で、これに対する法人税額は二七、三〇二、四〇〇円であるのにかかわらず、同四八年三月三一日、同県川口市青木二丁目二番一七号川口税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三七、四五五、一七八円で、これに対する法人税額は一三、一二六、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、同日の確定申告期限を徒過し、もって不正の行為により右事業年度の法人税額一四、一七六、三〇〇円を免れ、

第二  昭和四八年二月一日から翌四九年一月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が七六、二八九、二九七円で、これに対する法人税額は二七、三〇三、二〇〇円であるのにかかわらず、同四九年三月三〇日、前記川口税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四一、四六三、八〇七円で、これに対する法人税額は一四、五〇七、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、翌三一日の確定申告期限を徒過し、もって不正の行為により右事業年度の法人税額一二、七九六、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人富岡俊郎の当公判廷における供述

一、被告人富岡俊郎の検察官に対する供述調書二通、答申書一〇通および上申書一通

一、証人平野陽茂の当公判廷における供述

一、大西一善の検察官に対する供述調書

一、河端柳太郎の検察官に対する供述調書

一、小崎博作成の被告会社の登記簿謄本

一、川口税務署長竹村章作成の説明書(確定申告書等添付)

(法令の適用)

(一)  被告会社高砂化工機株式会社に関し

判示第一および第二の各所為につき

法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合加重につき

刑法四五条前段、四八条二項

(二)  被告人富岡俊郎に関し

判示第一および第二の各所為につき

法人税法一五九条一項(懲役刑を選択)

併合加重につき

刑法四五条前段、四七条、一〇条(重い第一の罪の刑に加重)

執行猶予につき

刑法二五条一項

訴訟費用につき

刑訴法一八一条一項本文

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 杉山伸顕)

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